『「衣食足りて礼節を知る」は誤りか』(大倉幸宏著)

評論家の宮崎哲弥さんが、大倉幸宏さんの新刊『「衣食足りて礼節を知る」は誤りか: 戦後のマナー・モラルから考える』を紹介しつつ、巷間なんとなく信じられている「昔は道徳もマナーもしっかりしていた」、「経済的には豊かになったが道徳心は低下した」という言説が、いかに根拠のないものなのかについて話しています。

こうした視点は非常に重要で、「治安悪化」や「少年の凶悪犯罪の増加」も統計的に見れば大嘘ですし、宮崎さんはこうした事実をきちんと取り上げている良書をよく紹介しています。ほんの数十年前のことすら、我々は正しく理解していないことが非常に多く、これらの書籍に触れることで、事実をきちんと調べることの大切さのみならず、「戦争体験」にしても「災害体験」にしても、風化させずに語り継ぐことがいかに難しいかも理解することができるのではないかと思います。