資源争奪戦、採掘に伴う環境破壊、南北問題等、世界の資源事情に関する常識から日本の認識を問う

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関連ワード
入門・資源危機
タイトル
サブタイトル
国益と地球益のジレンマ
著者・編者・訳者
谷口正次著
発行年月日
2005年 10月 24日
定価
2,750円
ISBN
ISBN4-7948-0680-9 
判型
四六判上製
頁数
304頁+カラー口絵4ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-谷口正次(たにぐち・まさつぐ)
太平洋セメント(株)専務取締役退職後、現在、国際連合大学ゼロエミッション・フォーラム理事。
環境経営戦略アドバイザー。
鉱山工学専攻。
会社在職中、資源事業と環境事業を手がけ世界の資源事情と環境へのインパクトの凄まじさを経験した。

内 容



 人類史上、青銅器時代から鉄器時代へ、そして産業革命による近代産業の発達、現代工業化社会への進化と5000年にわたって発展してきた社会・経済を支えてきたのはエネルギー資源とともに鉱物資源である。情報化社会、脱工業化社会といわれる21世紀になった今も、鉱物資源の需要量は減るどころか、中国をはじめとするBRICs諸国の高度経済成長と爆発的な人口増加から資源需要は依然として増加を続けている。そして、いまや限界が見えてきた資源の争奪戦が世界中で始まっている。一方、資源の採掘・利用・消費に伴う地球環境の劣化は急速に進行しており、地球温暖化が体感できるまでになった。
 このような中で、21世紀もモノづくり立国を標榜する日本にとって、資源確保のための国家戦略とそれに基づく資源外交が国益上きわめて重要となる。と同時に、掘ればなくなる資源の有限性と地球環境容量の限界から人類社会の持続可能性が危ぶまれるまでになっている現在において、一国の資源確保という国益と環境問題という地球益の間に矛盾が生じることになる。しかし、喫緊の課題であるにもかからず、ここに焦点をあてた類書がほとんどなかった。筆者が常々驚かされることは、欧米の人達の資源に対する認識が現在もきわめて高く、その上執着心が強いことである。これは、かつて植民地からの資源収奪によって栄えた欧米列強といわれた時代の遺伝子なのであろうか。一方、無資源国である日本は、毎年6億トン以上の資源を輸入し続けているにもかかわらずその認識が乏しい。そして、採掘すべき資源が国内にないという理由で専門教育さえも放棄してしまった。国際大資本いわゆる資源メジャーによる寡占支配の進行、戦争も辞さない資源争奪戦、採掘に伴う凄まじい環境破壊、南北問題など、世界の資源事情に関する常識なくして地球環境問題も国家戦略もモノづくり立国も語れない。本書は、このような思いから書かれたものである。


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