スタンダール氏との旅
世界という巨大な書物に学んだコスモポリタン、アンリ・ベール(スタンダール)の足跡を辿り作品をなぞる旅!
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- 関連ワード
- スタンダール氏との旅
- タイトル
- 著者・編者・訳者
- 臼田紘著
- 発行年月日
- 2007年 3月 22日
- 定価
- 1,980円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-0728-1
- 判型
- 四六判フランス装
- 頁数
- 264+口絵2頁ページ
著者・編者・訳者紹介
著者-臼田紘(うすだ・ひろし)
1940年東京に生まれる。
早稲田大学文学部仏文科卒業。
現在跡見学園女子大学文学部教授。
著書に『フランス小説の現在』(共著)、短編集『遠い姿』(私家版)。
訳書にスタンダール『イタリア紀行』、『イタリア旅日記』(全2巻)、『ローマ散歩』(全2巻)がある。
1940年東京に生まれる。
早稲田大学文学部仏文科卒業。
現在跡見学園女子大学文学部教授。
著書に『フランス小説の現在』(共著)、短編集『遠い姿』(私家版)。
訳書にスタンダール『イタリア紀行』、『イタリア旅日記』(全2巻)、『ローマ散歩』(全2巻)がある。
内 容
『赤と黒』や『パルムの僧院』といった小説で知られるフランスの作家スタンダール(本名アンリ・ベール)は、1842年、59歳でパリの舗道上に倒れるまで、定まった住まいを持つことなく、家庭を築くことなく、生涯を旅に過ごした。1799年、16歳のときに故郷のグルノーブルを出て以来、軍人として、ツーリストとして、精神的な亡命者として、そして最後に外交官として暮らすなかで、一度たりとじっくりと身を落着けることがなかった。晩年の職業、つまりチヴィタヴェッキア駐在フランス領事の仕事は、1831年から死亡するまでの10年以上に渉るが、任期中絶えず領事館を留守にし、外務大臣から任地を離れないように2度も注意される始末だった。
スタンダールは旅をしながら、死ぬまで精神を活動させ続けたと言うことができよう。旅先で建築や絵画などを見、音楽を聴き、土地の風俗に触れ、社会や政治について考え、数多くの書物を読み、そして最後に膨大な量の文章を書き残した。国籍を問わない多くの人物との交流、フランスやイタリアの女性たちとの恋愛もあった。こうして世界という巨大な書物に学んだスタンダールは、真の国際人(コスモポリタン)として、自己の考えを客観化していった。われわれがスタンダールの作品を読むとき、かれの文章の随所にこうした旅の影響を嗅ぎ分けることができよう。
かれの活発な精神を直截的に示す文体や、かれが実体験として獲得しそれとなくあかされる知識がそうであろうし、小説の主人公も、作家と同じように、絶え間なく動き回っているのである。わたしはこれまでこの作家とその作品を理解する一助として、スタンダールが滞在したり訪問したりした町、そして紀行文に記した町、小説の舞台になった町などのいくつかを訪れた。そうした折に記した小さな文章を今回まとめ、あらためて「スタンダール氏との旅」を振り返ってみた。