「生きられる現実」と対峙し、フランス文化の輝きの背後に巣食う深刻なニヒリズムを力強く克服する

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タイトル
サブタイトル
フランス現代文化史メモワール
著者・編者・訳者
ジャン=ポール・アロン著
 
桑田禮彰・阿部一智・時崎裕工訳
発行年月日
2009年 7月 2日
定価
4,180円
ISBN
ISBN978-4-7948-0790-8 
判型
四六判上製
頁数
496ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-Jean-Paul ARON(ジャン=ポール・アロン[1925-1989])
フランスの作家・歴史家。社会学者レーモン・アロンの甥。社会科学高等研究院主任(1977-)。著作活動は多方面に渡り、本書を含むフランス文化論、19世紀フランス中産階級史研究、さらに小説・戯曲もある。

内 容

 20世紀後半のフランス文化、厳密には第二次大戦終結以降約40年間のフランス文化―哲学ではサルトル、メルロ=ポンティ、フーコー、デリダ、ドゥルーズ、文学ではバタイユ、ブランショ、ロブ=グリエ、ソレルス、ビュトール、芝居ではアルトー、イヨネスコ、ベケット、美術ではジャコメッティ、スタール、ビザンティオス、映画ではゴダール、レネ、マル、音楽ではブーレーズ、さらには人類学のレヴィ=ストロース、精神分析のラカン、生理学のジャコブ、モノー、批評・社会学のロラン・バルトといった綺羅星たちが居並ぶ中、過去の巨星たちが甦り(ルーセルの芝居、マネの絵画など)、外国特にドイツ語圏から物故存命を問わず大きな星たち(ヘーゲル、フロイト、ブレヒト、ハイデガーなど)が招き入れられ輝きを増す眩いばかりの小宇宙。
 本書は、この小宇宙のメモワール、つまりこの小宇宙を「生きる」著者が現在形でその「生きられる」小宇宙を濃密な言葉で見事に表現した作品である。なるほど私たちはこの小宇宙から生まれた作品を書店・図書館・美術館・劇場・映画館・コンサートホール等で目の当りにし、しかもそれらの作品についての情報も既に山ほど手にしている。しかし私たちの目の前の作品とこの小宇宙との深い溝は、それらの情報によって埋められているだろうか。入門・紹介・解説さらには研究という名の情報は、この宇宙の「生きられる現実」から距離をとったところに無色・無害なものとして現れ、むしろ逆にその溝を広げる。本書は、この「生きられる現実」から逃げることを拒否し冷静な観察力と鋭い洞察力をもって、同時代のフランス文化に巣食う深刻なニヒリズムを暴き出し、しかも力強くそのニヒリズムを克服する道を提示している。

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