食料基地・鹿児島県が今、「農」と「工」の取り組みを深めている。その瞠目すべき挑戦に、日本の地域産業の未来と指針を読みとる。

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関連ワード
鹿児島地域産業の未来
タイトル
著者・編者・訳者
関満博著
発行年月日
2013年 4月 30日
定価
5,940円
ISBN
ISBN978-4-7948-0938-4 
判型
A5判上製
頁数
408ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年生まれ。
明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。
東日本各地の震災復興・産業再生アドバイザーとして携わる。
『東日本大震災と地域産業復興Ⅰ・Ⅱ』『沖縄地域産業の未来』『中山間地域の「自立」と農商工連携』など編著書多数。

内 容

 九州新幹線が全線開業し、終着駅の鹿児島中央駅周辺はにぎわいを増している。その鹿児島、日本の近代化に重要な役割を演じたものの、産業発展に関しては後塵を拝してきた。それでも、シラス台地を開墾し、畜産業を熱心に推進してきた。その結果、極めて特色のある産業構造をもつにいたっている。
 第一に、農業の比重が相対的に高く、中でも畜産の比重が半分を超えている。第二に、製造業出荷額等の中で、食料品、飲料(飼料も含む)の比重が57.9%(2009年)を占めている。全国の製造業の中に占める比重は13.0%であることからすると、その比重は際立っている。そして第三に、もう一つの基幹産業である「電子等」が出荷額の22.2%を占めている。京セラの稲森和夫氏が県内に3工場を展開していることが大きい。全国的にみても、これほど特定分野、特定企業に傾斜する産業構造を形成している県は見当たらない。このような点を意識しながら、地域産業の「現場」に入ると、大規模経営、集落営農、さらに、農産物の直売、小さな加工などの取り組みが各地で拡がっていることがわかる。また、モノづくり過疎とされてきた鹿児島で、この15年ほどの間に、全国レベルの金属加工、新製品開発などに従事する新たな中小企業が登場していることも興味深い。
 成熟し、人口減少と高齢化が進み、中国・アジアの台頭の中で次の時代のあり方を模索せざるをえない日本。その新たな枠組みの中で、私たちは豊かな地域産業、就業の場を創り出していかなくてはならない。この点、20世紀型発展を十分に経験することのなかった鹿児島の今の取り組みに、私たちは来るべき「未来」をみていくことになろう。
(著者 関 満博)

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