被災各地に展開する仮設商店街では今、「地域で商いをする意味」が深く捉え直されている。12の事例に見る「暮らしと商店街」の未来。

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関連ワード
震災復興と地域産業4
タイトル
サブタイトル
まちの自立を支える「仮設商店街」
著者・編者・訳者
関満博・松永桂子編
発行年月日
2013年 9月 24日
定価
2,750円
ISBN
ISBN978-4-7948-0951-3 
判型
四六判並製
頁数
256ページ

著者・編者・訳者紹介

編者-関満博(せき・みつひろ)-
1948年生まれ。
明星大学経済学部教授、一橋大学名誉教授。博士(経済学)。
『鹿児島地域産業の未来』他。
松永桂子(まつなが・けいこ)-
1975年生まれ。
大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授。博士(経済学)。
『創造的地域社会』他。

内 容

 東日本大震災の被災からすでに2年半を経過した。それでも30万人もの人びとが避難生活を余儀なくされている。他方、地域産業については、グループ補助金と事業用仮設施設の提供により、一つの階段を登った感がある。ただし、バブル経済崩壊以来の「失われた20年」の間に深く進行した内外の構造条件の変化に直面し、意外な思いを深めている方々も多い。このような課題は、モノづくり系産業を軸に議論されてきたが、小売商業、飲食業、サービス業など、地域の人びとの「生活を支える産業」でも同様のことが指摘されうるであろう。これらの生活産業は生業、自営業として営まれている場合が多く、今回の津波被災で大きな打撃を被った。
 特に沿岸の中心市街地に立地している場合が多く、津波により事業施設の大半は破壊され、事業主自身が亡くなっている場合が少なくない。このような事情に対し、今回は無償で大量の事業用仮設施設が提供された。その数は500カ所を超え、区画数は3000を超えている。一つの場所に10から50の商店、飲食店等が集積し、仮設で一定の規模の商店街を形成しているケースもある。そのいずれもが個々の商店等の自立へのキッカケとなり、また、地域で商いをすることの意味を深く痛感させている。事業主は「前のシャッター通りの頃より良い。このままの形態で本設にしていきたい」と語る場合も少なくない。自ら自立の方向に向かいながら、被災し仮設住宅に入っている人びとに商品・サービスを供給し、集いの場を提供することの意義が深く理解されているのであろう。特に、被災地域は人口減少、少子高齢化が際立つ条件不利地域である。そこでの取り組みは日本全体の将来を先取りしていることになる。
 そのような点を意識し、本書では被災地の仮設商店街の中から12のケースを取り上げ、その成立背景、具体的な形態と機能、将来の可能性、抱えている問題等を切り開きながら、被災地における「商店街」のこれからと私たちの未来をみていくことにしたい。
(編者:関満博)

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