〈どのように生きるべきか〉を知ることが困難な時代、知性と感性を失わず、かつ誠実に生きてゆくためには⋯⋯
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〈どのように生きるべきか〉を知ることが困難な時代、知性と感性を失わず、かつ誠実に生きてゆくためには⋯⋯
- 関連ワード
- 屈服しない人々
- タイトル
- 著者・編者・訳者
- ツヴェタン・トドロフ著 小野潮訳
- 発行年月日
- 2018年 10月 1日
- 定価
- 2,970円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-1103-5 C0023
- 判型
- 四六判並製
- 頁数
- 324ページ
著者・編者・訳者紹介
著者紹介 Tzvetan TODOROV(ツヴェタン・トドロフ、1939-2017)
ブルガリア出身のフランスの文芸理論家、思想史家。当初は構造主義的文学理論を代表する論者として知られたが、世界の中の人間を直接的に論じる著述を、他者論、民主主義論、絵画論といった幅広い領域をフィールドとして次々と発表し、過去と対話しつつ現代を思考する姿を見せる。
ブルガリア出身のフランスの文芸理論家、思想史家。当初は構造主義的文学理論を代表する論者として知られたが、世界の中の人間を直接的に論じる著述を、他者論、民主主義論、絵画論といった幅広い領域をフィールドとして次々と発表し、過去と対話しつつ現代を思考する姿を見せる。
内容
かつて遠い時代に「聖人伝」という種類の書物が存在した。神を求めて、求道的な人生を送った人々の人生を、彼らの過ちにも触れつつその道程を示すことによって、迷える衆生に神へと至る道、聖なるものへと達する道を示すことが、そうした書物の役割であった。神なき時代において聖なるものはあるのだろうか。抽象的な思考によって聖なるものへたどりつくことは、そもそも信仰など最初から持ち合わせない人間にとっては至難のことだろう。しかし、芸術作品に接して、そこに何か聖なるもの、何か尊いもの、何か超越的なものを感じるという体験は現代人にとっても失われたものではなく、むしろ人々がそうしたものへ向かう大きな動機となっていると言ってよいだろう。そして、ある人々の人生もまた、そのような賛嘆の念を多くの人間に抱かせる。そうした人々の人生自体が一個の作品としてみごとなものであり、尊いものであることが、それに接した人々によって感得されるのである。本書で取り上げられるのは、戦争、全体主義、人種差別といった二十世紀に人類史上最大規模の厄災となった事象に直面させられつつ、そのような賛嘆を誘う人生を生きた人々、たとえば旧支配者である少数派の白人と、彼らから長年にわたって差別を受けてきた多数派の黒人のあいだに内戦が起こっても不思議はなかった南アフリカにおいて、その両者への深い理解と共感によって、同国を和解の地へと変化させたネルソン・マンデラの人生である。彼らは、絶望に陥りかねない道程を歩みながら、自らの外部からやってくるさまざまな困難に立ち向かうとともに、そうした困難をもたらすと思われた「敵」に対する憎しみのような、自らの内部に巣くう「悪霊」にも屈しない術を知った人々であった。
(おの・うしお 近代フランス文学)
【本書に登場する8人】
アウシュヴィッツで亡くなったオランダの若いユダヤ人女性エティ・ヒレスム、フランスの人類学者ジェルメーヌ・ティヨン、ロシアの二人の作家パステルナークとソルジェニーツィン、人種差別と闘った南アフリカのネルソン・マンデラとアメリカのマルコムX、パレスチナの人権擁護を続けるイスラエル人ダヴィッド・シュルマン、アメリカ政府の違法な情報収集活動を暴露し、国家反逆罪・機密情報漏洩罪に問われているエドワード・スノーデン。
(おの・うしお 近代フランス文学)
【本書に登場する8人】
アウシュヴィッツで亡くなったオランダの若いユダヤ人女性エティ・ヒレスム、フランスの人類学者ジェルメーヌ・ティヨン、ロシアの二人の作家パステルナークとソルジェニーツィン、人種差別と闘った南アフリカのネルソン・マンデラとアメリカのマルコムX、パレスチナの人権擁護を続けるイスラエル人ダヴィッド・シュルマン、アメリカ政府の違法な情報収集活動を暴露し、国家反逆罪・機密情報漏洩罪に問われているエドワード・スノーデン。