差別と抑圧のもとで失われかけた「トナカイと共に生きる文化」。その再生と継承に大きな役割を果たした魅力いっぱいの教育実践!

978-4-7948-1128-8

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差別と抑圧のもとで失われかけた「トナカイと共に生きる文化」。その再生と継承に大きな役割を果たした魅力いっぱいの教育実践!

関連ワード
ノルウェーのサーメ学校に見る先住民族の文化伝承 ハットフェルダル・サーメ学校のユニークな教育
タイトル
サブタイトル
ハットフェルダル・サーメ学校のユニークな教育
著者・編者・訳者
長谷川紀子著
発行年月日
2019年 7月 8日
定価
3,300円
ISBN
ISBN978-4-7948-1128-8 C0037
判型
A5判上製
頁数
310ページ

著者・編者・訳者紹介

著者- 長谷川紀子(はせがわ・のりこ)
愛知工業大学、椙山女学園大学など4大学で非常勤講師を務める。
聖心女子大学特別研究員。
教育学博士(名古屋大学)。
博士論文「ノルウェーにおけるサーメの言語教育と文化伝承―ハットフェルダル・サーメ学校に焦点をあてて」。

内容

「サーメ」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。サーメとは、スカンジナビア半島北部を中心に、トナカイ放牧で生活する少数先住民族のことである。サーメ語で「サプミ」と呼ばれる彼らの先住地域は、現代の国境でいえばノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧三か国とロシアに分布し、現在居住している各国の「先住民族」として位置づけられている。他国の先住民族と同様、サーメもまた差別や抑圧に苦しめられた歴史をもつ。一九世紀後半から約一〇〇年間続いた居住各国政府による同化ないし分離政策は、サーメの言語や文化、そして彼らのアイデンティティを奪い取っていった。近代化の思想が、原始的な狩猟採集やトナカイ放牧を生業とするサーメに対して「貧困」というレッテルを貼った。そして、サーメたち自身も、自らがサーメであることを否定するようになっていった。しかし戦後、北欧諸国はサーメに対する政策を一八〇度転換し、先住民族としての権利を保障しはじめる。彼ら自身も、復権のための活動や民族文化を再評価する運動を起こしていった。そして二一世紀に入ると、「僕たちは自身の民族性を誇ることのできる第一世代かもしれない」と言えるだけの若者が現れる。極北の自然環境のなかで育まれたサーメ独特の言語や文化は、いまや次世代に継承されつつある。本書は、このような若者を育む土壌の役割を果たした教育機関「サーメ学校」に焦点を当て、七年間のフィールドワークをもとに、その実態を描いたものである。そこでの教育内容は、トナカイ文化を中心に考案されており、実にユニークで魅力にあふれている! もちろん、学校が経営面で大きな困難に直面したこともあるし、いまも課題は山積みだ。しかし、それらを乗り越えるだけのタフさと、困難に耐えた先に見出される意義が、この学校には確かにあった!
(はせがわ・のりこ)

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