重い障害を抱える人々も、極寒の真冬でも生き生きと暮らすことを可能にする「環境因子」の紹介を通じ、厚みある福祉社会像を提示。

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関連ワード
真冬のスウェーデンに生きる障害者
タイトル
サブタイトル
日本の理学療法士が見た福祉国家
著者・編者・訳者
山口真人著
発行年月日
2012年 7月 12日
定価
3,080円
ISBN
ISBN978-4-7948-0908-7 
判型
四六判上製
頁数
312頁+カラー口絵4ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-山口真人(やまぐち・まこと)-
理学療法士・社会福祉士。
東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻修了。
障害科学修士。
病院で臨床に携わる傍ら、2000年より訪瑞を重ね、2011年2月で10度目となった。
(医)錦秀会阪和第二泉北病院リハビリテーション部に勤務。

内 容

 本書は、寒さが厳しく雪の多い真冬のスウェーデンにおける障害者の暮らしぶりを伝えるものである。前著『日本の理学療法士が見たスウェーデン』では、重度の障害を抱えるスウェーデンの人々の、初夏から初秋までの暮らしぶりを取り上げたが、数人の読者から、そうした人々が真冬にどのように暮らしているのか知りたい、という感想をいただいたことがきっかけで、本書を著すことにした。また、執筆動機の根底には、冬になると障害を抱えた人々の生活が屋内外を問わず極端に制限されてしまう日本の現状に対する、私の日頃からの思いもあった。2007年はストックホルム市のすぐ北で東海岸沿いのイェヴレ市とサンドヴィーケン市、2008年はスウェーデン最北で北極圏に位置するキルナ市、2011年には雪深い中央部のエステシュンド市で、いずれも極寒の2月に、重い機能障害をもつ人々を取材した。その結果分かったことは、気候のよい季節と同様、さまざまな「環境因子」が真冬の屋内外における彼らの生活を生き生きとしたものにし、廃用症候群も予防しているという事実であった。その「環境因子」とは、個人アシスタントや准看護師などの「人」、補助器具を筆頭とする「モノ」、機能的な住宅や町並み、障害をもつ人のための活動所などの「空間」、さらには家族が有給でケアを行うことができる「家族ケア者制度」、年金生活者の最低生活を保障する「最低生活保障額制度」などである。最終章では、なぜスウェーデン社会が、こうした各種の「環境因子」をもって、障害者の暮らしを支えることができているのかを、人間の生活機能と障害の分類法として2001年よりWHO(世界保健機関)が採択している「ICF(国際生活機能分類)」に照らして整理した。読者の皆様には、私とともに旅をしているつもりで、真冬のスウェーデンにおける障害者の暮らしぶりに触れていただけたら幸いである。
(著者 山口 真人)

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