ギャザリング・ブルー 青を蒐(あつ)める者
子どもの創造性とは何か。「教育」とはだれのためにあるのか。数多の問いをはらむ話題の近未来小説シリーズ、待望の第2弾!
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- ギャザリング・ブルー 青を蒐(あつ)める者
- タイトル
- 著者・編者・訳者
- L.ローリー(Lois Lowry)著
- 島津やよい訳
- 発行年月日
- 2013年 3月 22日
- 定価
- 1,650円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-0930-8
- 判型
- 四六判上製
- 頁数
- 272ページ
著者・編者・訳者紹介
著者-Lois LOWRY(ロイス・ローリー)(1937-)-
アメリカの児童文学作家。
1937年ハワイに生まれる。
連合国陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、第二次世界大戦が終結してまもない1948〜50年、11歳から13歳までの少女時代を東京で過ごす。
1977年、夭逝した姉の思い出を題材とした処女作『A Summer to Die』(邦題『モリーのアルバム』)を発表、高く評価される。
ナチス占領下のデンマークを舞台に少女の友情を描いた『Number the Stars』(邦題『ふたりの星』)と、本作の前編である近未来小説『The Giver』(邦題『ギヴァー 記憶を注ぐ者』)で、世界的に名高い児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞(1990年度と94年度)。
2012年秋、長編『Son』(未邦訳)を発表、長いあいだ3部作として知られていた〈ギヴァー・シリーズ〉を4部作とし、世界を驚かせた。
邦訳に『サイレントボーイ』『ドリーム・ギバー』など。
著者L. ローリー(写真©Neil Giordano)
アメリカの児童文学作家。
1937年ハワイに生まれる。
連合国陸軍の歯科医将校だった父について各地を転々とし、第二次世界大戦が終結してまもない1948〜50年、11歳から13歳までの少女時代を東京で過ごす。
1977年、夭逝した姉の思い出を題材とした処女作『A Summer to Die』(邦題『モリーのアルバム』)を発表、高く評価される。
ナチス占領下のデンマークを舞台に少女の友情を描いた『Number the Stars』(邦題『ふたりの星』)と、本作の前編である近未来小説『The Giver』(邦題『ギヴァー 記憶を注ぐ者』)で、世界的に名高い児童文学賞「ニューベリー賞」を受賞(1990年度と94年度)。
2012年秋、長編『Son』(未邦訳)を発表、長いあいだ3部作として知られていた〈ギヴァー・シリーズ〉を4部作とし、世界を驚かせた。
邦訳に『サイレントボーイ』『ドリーム・ギバー』など。
著者L. ローリー(写真©Neil Giordano)
内 容
ご好評をいただいている〈ギヴァー・シリーズ〉の第2作です。物語の舞台は前作同様、「近未来」らしき世界。『ギヴァー』の登場人物は出てきません(でも、どこかに「おや?」という場面がひそんでいるかもしれませんので、さがしてみてください)。主人公は脚の不自由な少女キラ。手がとても器用で刺しゅうが得意です。彼女の住む「村」では、「欠陥」のある者は排除されてしまいます。キラも、唯一の庇護者である母を病気で亡くすや、生存の危機に直面します。しかし「村」の上層部はキラの刺しゅうの才能に注目し、彼女を生かし、重要な任務をあたえます。助かったことに安堵したのもつかのま、キラはしだいに、上層部が自分を含めた「才能ある子どもたち」を搾取していることに気づいていきます。訳文の推敲をほぼ終えたとき、大阪市の高校バスケ部の「体罰」事件のニュースが流れました。わたしは事件の内容だけでなく、べつの意味でもショックをうけました。訳したばかりの作品が訴えかけている問題が、いままさに現実化していると思われたからです。学校の経営やコーチの名誉心、市長の思惑などという「おとなの事情」によって、子どもが窒息している…創造と表現の自由をうばわれ、おとなの道具にされているキラたちの姿がそこに重なってみえました。タイトルにもあるとおり、物語は「青という色」をめぐってスリリングに展開していきます。しかし前作と同じく、やはり根幹には「未来をつくる存在としての子ども」という主題が流れています。創造性を自分の手にとりもどそうとする主人公の姿は、「教育」とはだれのためのものなのかという根元的な問いを喚起せずにはいません。そしていつもながら、社会や共同体、才能、人間の「価値」や「有用性」など、ふだん何気なくつかっている概念を深く考えさせる巧みなしかけに満ちています。昨2012年秋、第4作となる大作『Son(息子)』が発表され、さらに厚みを増した〈ギヴァー・シリーズ〉の世界。まずは第2作をおたのしみください。
(訳者 島津やよい)
『ギヴァー 記憶を注ぐ者-』(L.ローリー(Lois Lowry)著 島津やよい訳)[ISBN978-4-7948-0826-4]
(訳者 島津やよい)
●あらすじ
足の不自由な少女、キラ。唯一の庇護者であった母がある日、突然の病に倒れ亡くなってしまう。体の不自由な者にとって苛酷な「村」の環境のなかで、キラは自分が生き残れないかもしれないことを覚悟する。しかし彼女には、「村」の未来にかかわるある不思議な力がそなわっていた…●読みどころ
前作『ギヴァー』と異なり、「少女」が主人公で、「糸」「布」にまつわる特殊技能がテーマです。登場人物たちのサバイバルは前作よりもかなり苛酷。しかし、ひきしまった文体と物語展開、「幸福」や「共生」の意味を深く考えさせるストーリーテリングの手腕は健在! つづく第3作の主人公となる型破りでキュートなキャラクターも登場します!●海外レビューより
フィクションの達人ロイス・ローリーは、写実的な物語とファンタジーのいずれにも卓越している。そして、わたしたちの文明の将来の姿を写しとっているかもしれないこの物語は、作家の最高傑作のひとつだ。
―『ブックリスト』誌
L.ローリーが、あのニューベリー受賞作『ギヴァー』で描いた象徴的な近未来の世界に戻ってきた…いつもながら思索と議論をよびさますたくさんの題材がちりばめられているだけでなく、今回は“魔法モノ”のタッチも加わっている。そして読者は、前作のあの謎めいたラストシーンを読み解くためのかすかなヒントをも見いだすことができるかもしれない。
―『カーカス・レビュー』誌
●既 刊
『ギヴァー 記憶を注ぐ者-』(L.ローリー(Lois Lowry)著 島津やよい訳)[ISBN978-4-7948-0826-4]