加害側の少年を癒やし、支え、再犯を防ぐ心理療法の最先端。虐待や若年犯罪の問題を社会全体で考えるための最良のカルテ

978-4-7948-1151-6

ネット書店で注文

加害側の少年を癒やし、支え、再犯を防ぐ心理療法の最先端。虐待や若年犯罪の問題を社会全体で考えるための最良のカルテ

関連ワード
性的虐待を犯した少年たち ボーイズ・クリニックの治療記録
タイトル
サブタイトル
ボーイズ・クリニックの治療記録
著者・編者・訳者
アンデシュ・ニューマン+ウーロフ・リスベリィ+ベリエ・スヴェンソン著/見原礼子訳
発行年月日
2020年 4月 20日
定価
2,750円
ISBN
ISBN978-4-7948-1151-6 C0036
判型
四六判並製
頁数
300ページ

著者・編者・訳者紹介

著者-Anders NYMAN(アンデシュ・ニューマン), Olof RISBERG(ウーロフ・リスベリィ), Borje SVENSSON(ベリエ・スヴェンソン)
NYMANは心理士、心理療法士、家庭カウンセラー。専門は臨床心理学。ストックホルム市内の心理療法クリニック所属。邦訳に『性的虐待を受けた少年たち』(共著)、『虐待による抑圧行動としての薬物依存』(未邦訳)など。

内容

本書のタイトルを見て、違和感を抱く方がいらっしゃるかもしれません。未成年の性犯罪者に対して「治療」を行うという考え方が、日本では一般的ではないからです。本書の舞台であるスウェーデンをはじめとした欧米諸国では、未成年性犯罪者に心理療法を通じた治療を行う機会が幅広く設けられています。そうした治療機関の代表格であるスウェーデンのボーイズ・クリニックは、30年前に国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン世界連盟」のメンバー団体「レッダ・バーネン」内に設立されました。設立当初は性的虐待の被害者少年を対象とした治療を行っていました。性的虐待の被害者に男子が多く含まれるにもかかわらず、彼らが回復するための治療機会が十分に提供されていなかったからです。1998年、ボーイズ・クリニックは加害少年も治療の対象とするようになります。加害行為に及んだ少年たちへの治療を通じて、当人自身の回復と、新たな被害者を生み出す危険の回避を目指したのです。本書は、このボーイズ・クリニックで長年にわたり性的虐待の被害・加害少年の治療に取り組んできた3名の心理療法士が、自らの臨床経験を踏まえつつ、幼き性犯罪者となった少年に対する治療状況と支援に関する課題を、一般読者向けに詳説したものです。近年、日本国内においても少年院向け「性非行防止指導プログラム」が開発・実施されるなど、「矯正教育」の取り組みが進んでいますが、出所後も治療を継続し、かつ社会復帰を支援するような仕組みはまだ確立されていません。若年性加害者の処遇に関心をもつ方々、心理療法職に従事し、性加害少年と日々向き合っておられる方々に本書が届くことを願っています。
(みはら・れいこ 長崎大学教員/比較教育社会学)

目次

訳者まえがき 

コラム1 性的虐待の被害と加害の関係 
コラム2 刑法の一部を改正する法律(2017年) 
コラム3 性加害者の治療やその家族の支援を行う民間団体 

序文(リーサ・ヘルストーレム) 
刊行によせて(アーノン・ベントヴィム博士) 

第1章 ぼくは人間なの? 

第2章 性的虐待と若年加害者――しばしば寄せられる質問 12

第3章 62人の若年加害者に関するデータ 24

第4章 きょうだい間に性的関係 28

第5章 再婚家庭内での性的虐待 37

第6章 里親家庭や施設における性的虐待 46

第7章 近隣地域における子どもへの性的虐待

第8章 集団強姦 70

第9章 低年齢の子どもの性的行動について 85

第10章 リスク評価に潜む危険性 111

第11章 治療のための前提条件 127

第12章 強迫周期的プロセスについての考え方 139

第13章 治療分野 145

第14章 止めどない否認の嵐とそびえ立つ防御の塔 160

第15章 マルティンの事例――記憶と承認 174

第16章 治療――心理療法と教育 192

第17章 治療者自身の感情 211

第18章 ある少年の事例 232

第19章 治療終了後のジムとの対話 282


あとがき(ルードヴィク・イグラ) 292

参考文献一覧 298

好評既刊書

, , , , ,