明治の日本に生きた仏青年の青春が蘇る

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若き祖父と老いた孫の物語
タイトル
サブタイトル
東京・ストラスブール・マルセイユ
著者・編者・訳者
辻 由美著
発行年月日
2002年 3月 10日
定価
2,090円
ISBN
ISBN4-7948-0552-7 
判型
四六判
頁数
244ページ

著者・編者・訳者紹介

辻由美(つじ・ゆみ)
作家・翻訳家。東京教育大学理学部修士課程修了後、パリに学ぶ。1996年、『世界の翻訳家たち』(新評論)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。著書に、『図書館であそぼう』(講談社現代新書)、『カルト教団太陽寺院事件』(みすず書房、新潮OH!文庫)、『翻訳史のプロムナード』(みすず書房)、訳書に、メイエール『中国女性の歴史』(白水社)、ジャコブ『内なる肖像』(みすず書房)、ダルモン『性的不能者裁判』(新評論)他。

内 容

80歳の孫が120年の時空を超えて24歳の祖父に出逢う時—祖父の遺した膨大な日本コレクション(日記・手紙・写真)から、明治初期の日本に生きたフランス青年の青春が鮮やかによみがえる。
 ピエールは、若き日の祖父ルイの手紙を発見する。120年前、明治の東京から書かれた手紙だった。フランス・マルセイユに住むピエールにとって日本という国は、行ったことがないどころか、関心を抱いたことさえない国だった。だが、祖父ルイの手紙を読みはじめたとたん、面白くてやめられなくなる。
 フランス青年ルイ・クレットマンは、明治 9年(1876)、創立まもない士官学校の教師として来日。彼が日本滞在中に書いた手紙や日記、明治の日本を物語る535枚の写真などの膨大な日本コレクションが、1990年代になって、孫ピエールの手で発見された。これらはピエールが子ども時代バカンスを過ごしたレマン湖の家に、ふたつの世界大戦をくぐり抜けて、静かに眠っていたのだ。
 この日本滞在の思い出が埋もれてしまった事情は、祖父ルイの失われた故郷ストラスブールにかかわるものであることを、ピエールは知る。
 本書は、120年の歳月と、東京・ストラスブール・マルセイユにまたがる大きな時空のなかで展開される、祖父と孫の人間ドラマである。

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