愛するということ
「生の実感」を求めてやまない現代人。その表現としての消費活動、非政治化、暴力、犯罪によって崩壊するものとは!!
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- 関連ワード
- 愛するということ
- タイトル
- サブタイトル
- 「自分」を、そして「われわれ」を
- 著者・編者・訳者
- ベルナール・スティグレール著
- ガブリエル・メランベルジェ+メランベルジェ眞紀訳
- 発行年月日
- 2007年 7月 9日
- 定価
- 2,200円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-0743-4
- 判型
- 四六判上製
- 頁数
- 184ページ
著者・編者・訳者紹介
著者-Bernard STIEGLER(ベルナール・スティグレール、1952-)-
フランスの哲学者。主著『技術と時間』。
デリダの指導で哲学博士号を取得したのち、大学講師を経て、INA(国立視聴学研究所)副所長、IRCAM(音響・音楽研究所)所長などの要職を歴任。
現在はポンピドゥー・センターのトップ。
文化産業が支配する現代社会を問題化する国際的運動組織ARS INDUSTRIALISを立ち上げ、精力的に活動している。
フランスの哲学者。主著『技術と時間』。
デリダの指導で哲学博士号を取得したのち、大学講師を経て、INA(国立視聴学研究所)副所長、IRCAM(音響・音楽研究所)所長などの要職を歴任。
現在はポンピドゥー・センターのトップ。
文化産業が支配する現代社会を問題化する国際的運動組織ARS INDUSTRIALISを立ち上げ、精力的に活動している。
内 容
自己愛という言葉は、自分に酔うナルシストや、利己的なエゴイストを連想させるからか評判があまり良くない。しかし一方で、今ほど「自分を愛する」ことを皆が求めてやまない時代はかつてなかったのではないか。
本書でスティグレールは、自分(個)というのは自分に「なる」プロセスなのだ、と繰り返し説いている。個体化とは時間の経過とともに、違う自分になっていくことであり、己のうちの他者を育むことなのだ。しかし個とはそれ自体で変化していくわけではなく、「私」は様々な集団に属して影響を受けつつ、またそこで何らかの役割を担うことで、その「われわれ」の中における唯一無二の存在として認証されていくのである。
ところが現在この「私」と「われわれ」双方の個体化が頓挫している。というのも今日の市場経済は、世界標準規格の消費者を作り出すために、最先端技術を駆使して人々の行動様式を極度にシンクロさせようとしており、こうして同じような価値観や美的感覚、想像力や記憶をもつようになった消費者たちは、未知のものを欲望してあらたなものに変化することができなくなり、結果的に自分をもう愛せなくなっていくのである。
真の意味での自己愛そして友愛とは、自己や「われわれ」のうちのまさに不一致や矛盾を推進力として、未来を志向し、開いていくことである。技術はそのために使ってこそ「文明」の利器となる。だからこそ今、テクノロジーの社会的役割を徹底的に批判検証しなければならない。そして、グローバル経済の中でただ「生き残る」ことに甘んじず、人間らしく「存在」する方策が具体的に生み出される産業政治を創始しなければならないのだ。