琵琶湖をめぐるスニーカー
第1回たねや近江文庫ふるさと賞最優秀賞受賞作品
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- 関連ワード
- 琵琶湖をめぐるスニーカー
- タイトル
- サブタイトル
- お気楽ウォーカーのひとりごと
- 著者・編者・訳者
- 山田のこ著
- 発行年月日
- 2009年 3月 24日
- 定価
- 1,980円
- ISBN
- ISBN978-4-7948-0797-7
- 判型
- 四六判並製
- 頁数
- 232ページ+カラー口絵4ページ
著者・編者・訳者紹介
著者-山田のこ(やまだ・のこ)
1946年群馬県生まれ。
幼い頃から花好きの祖父とともに園芸を楽しんでいたが、山野草に関心が移り、花を求めて全国の山野を歩く。琵琶湖の風景と花の比良に魅せられ、97年より大津市在住。
1946年群馬県生まれ。
幼い頃から花好きの祖父とともに園芸を楽しんでいたが、山野草に関心が移り、花を求めて全国の山野を歩く。琵琶湖の風景と花の比良に魅せられ、97年より大津市在住。
内 容
9月のある朝、洗濯物を干す手をとめてふと見あげた空に、秋の気配が潜んでいた。昨日までの暑さが嘘のようなさわやかさの中に、移り行く季節の手触りがあった。風が「外に出てみませんか」と髪をなぶって吹き抜ける。
そうだ、いま人気の琵琶湖一周をしてみよう。
思いつきのままに、ちいさなおにぎりをふたつとお茶と果物を持って外にでた。とりあえずは北に行こう。旅人はなぜか北を目指すものだから。
琵琶湖の岸辺に住んで12年。朝夕眺めても見飽きることがない美しい琵琶湖の周囲は、一周約220キロ。気ままに歩き継げば歩けない距離ではない。わたしの極楽ウォーキングはこうしてスタートした。
夜明けの琵琶湖の美しさ。雪の比良の美しさ。花咲く野辺の美しさ。
滋賀の魅力は自然ばかりではない。この土地には、万葉の昔から織りなされてきた喜怒哀楽の人間模様の長い歴史がある。往時は「近江を制すものは都を制すと」いわれたほどで、中世の古戦場跡や僧院など、家を一歩出ればたちまち史跡にぶつかる。教科書の中でしか知らない名前や、自分とは無縁だと思っていた遠い人々の残像が、親しい人のそれのように浮かびあがる。それらの人の足跡を訪ねていけば、また新しい滋賀が顔をみせる。
野の花ひとつにも心を留めて丁寧に湖岸を歩くと、次から次へと新しい発見がある。迷子も遠回りも恐れずに、心のままに琵琶湖を楽しんだ。琵琶湖岸をあるきながら、いつもわたしは、ああ、この美しさ、楽しさを、あの人に伝えたい、この人に伝えたいと、知人の顔を思い浮かべていた。(著者より)
そうだ、いま人気の琵琶湖一周をしてみよう。
思いつきのままに、ちいさなおにぎりをふたつとお茶と果物を持って外にでた。とりあえずは北に行こう。旅人はなぜか北を目指すものだから。
琵琶湖の岸辺に住んで12年。朝夕眺めても見飽きることがない美しい琵琶湖の周囲は、一周約220キロ。気ままに歩き継げば歩けない距離ではない。わたしの極楽ウォーキングはこうしてスタートした。
夜明けの琵琶湖の美しさ。雪の比良の美しさ。花咲く野辺の美しさ。
滋賀の魅力は自然ばかりではない。この土地には、万葉の昔から織りなされてきた喜怒哀楽の人間模様の長い歴史がある。往時は「近江を制すものは都を制すと」いわれたほどで、中世の古戦場跡や僧院など、家を一歩出ればたちまち史跡にぶつかる。教科書の中でしか知らない名前や、自分とは無縁だと思っていた遠い人々の残像が、親しい人のそれのように浮かびあがる。それらの人の足跡を訪ねていけば、また新しい滋賀が顔をみせる。
野の花ひとつにも心を留めて丁寧に湖岸を歩くと、次から次へと新しい発見がある。迷子も遠回りも恐れずに、心のままに琵琶湖を楽しんだ。琵琶湖岸をあるきながら、いつもわたしは、ああ、この美しさ、楽しさを、あの人に伝えたい、この人に伝えたいと、知人の顔を思い浮かべていた。(著者より)