辺境地区における重工業化の新展開、砂漠緑化と貧困克服への興味深い取り組みを初めて詳細に報告

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関連ワード
中国辺境の地域産業発展戦略
タイトル
サブタイトル
西部大開発と寧夏回族自治区
著者・編者・訳者
(社)経営労働協会監修
 
関満博編
発行年月日
2009年 4月 30日
定価
4,950円
ISBN
ISBN978-4-7948-0795-3 
判型
A5判上製
頁数
368ページ

著者・編者・訳者紹介

編者-関 満博(せき・みつひろ)
1948年生まれ。
一橋大学大学院商学研究科教授(経済学博士)。
『「B級グルメ」の地域ブランド戦略』『地域産業振興の人材育成塾』『地方圏の産業振興と中山間地域』(以上編著、新評論)ほか編著書多数。
フィールドワーク集『地域産業の「現場」を行く』第1集も刊行されている。

内 容

 2008年早春、一つの照会が編者に届く。「寧夏回族【ねいかかいぞく】自治区の産業発展の手伝いをしてもらえないか」というものであった。寧夏と言えばシルクロードの拠点の一つであり、かつて西夏の国の栄えていた場所であった。初めて訪れた同自治区首府の銀川市は標高千メートルとされ、まるで軽井沢であった。事前に「周りは砂漠、鉱物資源といくつかの農畜産物(羊とブドウと枸杞【クコ】)しかない」と言われていたのだが、私たちが訪れた寧夏は、意外な顔を見せてくれた。
 1960年代中頃の毛沢東時代、中ソ関係の悪化に加え、アメリカのベトナム戦争への関与も深くなり、中国は極度に緊張していた。沿海地域や東北地方に展開していた重要工場や軍需工場を内陸に移す「三線建設」という壮大な計画が推し進められた。寧夏もその一つの受け皿であった。そして寧夏は、ここに来て老朽化し動きの鈍くなった三線企業を、外資との交流により一気に近代化させ、新たな地域産業構造の基幹的部分へと置き直していたのであった。
 もう一つ、「砂漠の緑化」と「貧困克服」への取り組みが注目された。寧夏郊外の砂漠地帯では、スイカ栽培等を通じて劇的な成果が上がり始めていた。
 このように、寧夏は「辺境の地域における重工業化、重機械工業化」、そして「砂漠の緑化と貧困の克服」という興味深い世界的なテーマを私たちに見せてくれた。
 さて、このテーマ、私たちは入口に立ったばかりだが、これからどのように向かっていったらよいのか。本書は、そこに向かうための起点として位置づけられる。(文・関 満博)

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